火事が近所で発生すると、焦げくさい臭いが家の中に入り込むことがあります。火事の臭いは想像以上に遠くまで届くため、火元から遠い場合でも家がくさくなる可能性もあるため注意が必要です。さらに、火災臭は健康に悪影響を与える可能性があるため、迅速かつ効果的な対処が求められます。
当記事では、火事の臭いの原因や広がる距離、健康への影響、臭いを取り除くための具体的な方法について詳しく紹介します。近所で火事が発生し、家の中が焦げくさいという方はぜひ参考にしてください。
1. 近所で火事|家がくさい!火事で発生する臭いとは?
近隣で火災が発生した場合、類焼などの問題はなくても、焦げくさい独特の臭い「火災臭」が家まで漂うことがあります。火災で起こった臭いを放置すると健康に害を及ぼす恐れがあるため、注意が必要です。
ここでは、火災臭が発生する原因や健康被害について解説します。
1-1. 火事の焦げくさい臭いの原因
火事場で発生する臭いの主な原因は「煤(すす)」です。すすとは有機物が不完全燃焼を起こした際に発生する黒い粒子を指し、主な成分は炭素です。炭素だけなら身体への影響は大きくありませんが、火事場でのすすは空中を漂いながらさまざまな物質と混じり合って嫌な臭気を発するようになります。
火事場で発生するすすの主な特徴は下記の通りです。
- 独特の臭いを発生させる
- 空中を浮遊し、広がりやすい
- 家屋などに付着するとき落としにくい
- 有害な化学物質を含み、吸い込むと健康被害が出る恐れがある
火災臭に含まれる化学物質のうち、下記の有害な成分は人が一度嗅ぐと脳が危険を察知して過敏に反応するようになるため、少量でも悪臭と感じるようになります。
- フルフリルアルデヒド
- プロピオンアルデヒド
- n-バレルアルデヒド
- n-ブチルアルデヒド
- トルエン
- プロパン
- ペンタン
- ベンゼン
- 1-ペンテン
- ヘキサン
- イソペンタン
- 塩化水素
健康被害のリスクを軽減するためにも、火災後の焼け焦げ臭はなるべく早めに対処する必要があります。
1-2. 火事の臭いがもたらす健康被害
火災臭は、何も対処しなければ現場に長く残り続けます。近所の火事で起こった悪臭が流れてきて自分の家の天井や壁に染みついてしまうと、数年にわたって臭いが残り続ける恐れもあります。
火災臭は身体に害のある物質を含むため下記のようなさまざまな症状が起こるリスクがあり、速やかな対策が必要です。
- 咳・めまい・頭痛・吐き気
- ぜんそくや呼吸困難
- アレルギー性皮膚炎
- 神経系や呼吸器の障害
- がん
また、すすが硫黄・窒素・銅・亜鉛などの金属成分と混ざりあうと毒性の強い煙が出ることがあり、十分な注意が必要です。状況によってはダイオキシンやアスベストが発生し、下記のような被害をもたらします。
- ダイオキシン
- アスベスト
毒性が強く、がんや免疫系の損傷、ホルモンの阻害などを引き起こす可能性がある。
肉眼では見えない極めて細い繊維からなる。気づかずに吸い込むと、長く肺組織に滞留し肺や気管支の炎症、肺がん、呼吸器系の障害などを引き起こすことがある。
2. 火事後の焼け焦げた臭いは遠くまで届く!
火災現場で発生した臭いは、煙や風に乗って広範囲に広がります。火元の住宅の一部分が焼けた場合でも、換気して外に出せば周囲への広がりは避けられません。
全焼した場合は想像以上に遠くまで臭いが届くため、離れた場所で起こった火災が原因で家がくさくなることもありえます。
ここでは、火災臭が届く距離について解説します。
2-1. 火事の臭いが届く基本的な距離
一般的な家屋で火災が起こった場合、燃焼した規模によって臭いが届く距離は下記のように異なります。
部分焼 | 外壁の燃え具合によるが、臭いは半径10mほどまで広がる。外壁が燃えなかったときは5m程度で収まる可能性がある。 |
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半焼 | 焼けた規模や出火した場所により、臭いが半径10~25mほど広がる。 |
全焼 | 範囲が広い上に排泄物が通るトイレの燃焼が加わることで強烈な臭いが起こる。臭いは半径30mほどまで広がる。 |
工場火災やマンション火災は規模が大きくなるため、臭いが届く範囲はさらに広くなります。
2-2. 湿度・風速の気候条件によって異なる距離
火災臭の広がり方は、湿度や風速といった気候条件によっても異なります。おおまかな傾向は下記の通りです。
湿度 | 低い:広がりやすい 高い:広がりにくい |
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風速 | 強い:広がりやすい 弱い・無風:広がりにくい |
湿度が高いときは、臭いの粒子に水蒸気が付着して重くなるため広がりが抑えられます。臭いがその場にとどまりやすく、あまり遠くまで広がることはありません。湿度が低くカラッとした天候であれば、粒子も軽いままなので、遠くまで届きやすくなります。
風速との関係では、風が強ければ臭いは広い範囲に運ばれ、薄まるものの遠くまで広がります。風が吹いていない・ほぼ無風といった環境では、臭いはその場にとどまりやすく、風が強いときと比べてあまり広がりません。
3. 火事の臭いは保険で適用されない
火災発生で家財などが燃えた場合、火災保険に加入していれば補償を受けられます。ところが、火災臭による被害が発生しても、補償を受けることはできません。
ここでは、火災保険で補償されない理由や適用される方法について解説します。
3-1. 火災保険が適用されない理由
火災臭が保険適用外になるのは、主に下記の理由によります。
- 火災保険は損害に対して補償が行われる。損害とは建物や家財などの滅失・破損・汚損を指し、臭いによる苦痛は該当しない。
- 臭いの感じ方は人それぞれであり、臭い自体が時間とともに薄れるため、正確に査定することが難しい。
損保ジャパンの個人用火災総合保険「THE すまいの保険」を例に挙げると、火災、落雷、破裂・爆発などによる損害が生じたときに補償するとの旨が明記され、臭いは保険対象に入っていません。ほかの保険会社でも同じような扱いです。
出典:SOMPO「個人用火災総合保険『THE すまいの保険』補償内容」
ただし、すす汚れは汚損に該当するため、除去にかかった費用などの補償が受けられます。家屋や家財がすすで汚れたときは、加入している保険会社に問い合わせてみましょう。
3-2. 火事の臭いを保険適用させたい場合
火災保険に「臨時費用保険金」をセットにしておくと、火災臭による被害への備えになります。臨時費用保険金とは、火災が発生した際に必要となった出費に対し損害保険金の10%が支払われる特約です。
専門業者に消臭を依頼して費用がかかった場合などでも、臨時費用保険金をセットにすれば補償を受けられるでしょう。用途に制限はなく、火災臭の除去費用や臭いの染みついたカーテンの買い替え費用など、自由に使えます。
4. 火事の臭いで家がくさいときの対応
臭いが残っていると、不快なだけでなく身体への害となる可能性も高いため、早急な対応が必要です。臭いへの対処法は、自力で消臭する方法と業者に依頼する方法があります。
ここでは、それぞれの消臭方法を紹介します。
4-1. 自分で消臭する
自分で火事の臭いを消臭するには、下記のような方法があります。
- 窓を開けたり換気扇を回したりして換気する
- 床、壁、天井、家具など家全体の拭き掃除をする
- 本は天日干し、衣類は手洗いしてから洗濯機で洗う
- カーテンやカーペットなど変えられるものはなるべく交換する
- 市販の火災臭専用消臭キット(消臭スプレー)を使う
上記作業を徹底して行えば、臭いは薄まるでしょう。市販の消臭キットはオンラインショップなどで手に入り、業務用を選ぶとより高い消臭効果が期待できます。
自力での消臭の大きなメリットは、費用が抑えられる点です。とはいえ、臭いの染みついた家具やカーペット、カーテンを買い替えたり、火災専用の消臭キットを購入したりすれば、ある程度まとまった出費が発生します。
また、家じゅうを徹底的に清掃したり衣類を手洗いしてから洗濯機で洗ったりと、手間もかかります。状況によっては、完全に臭いを消せない場合もあるでしょう。
4-2. 業者に消臭依頼をする
火災臭を消す方法として専門業者に依頼する方法もあります。火災消臭を専門とする業者であれば、下記のような作業で効果的に火災臭を消せます。
- 専用薬剤による天井や壁などのすす落とし
- オゾン脱臭装置などの脱臭装置を使用して臭い成分を分解消臭
- 特殊コーティングによる防臭
状況によっては、脱臭装置による作業だけで済むこともあるでしょう。専門業者に依頼する大きな魅力は、自分で手間や時間をかける必要がなく、完全消臭が可能な点です。自分で消臭作業をして有害物質を吸い込むリスクがないのも、大きなメリットと言えるでしょう。
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火事が近所で発生した場合、家に焦げくさい臭いが残ることがあります。火災臭は健康に悪影響を与える可能性があるため、早急に対処することが重要です。火事の臭いの原因や広がる距離を理解し、適切な消臭方法を実施することで、臭いを効果的に取り除くことができます。自力での対策が難しい場合は、専門業者に依頼することも検討しましょう。
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