火災という災害は、大切な財産だけでなく、かけがえのない命までも奪い去る出来事です。もし、所有する土地で火災が発生し、不幸にも亡くなられた方がいた場合、その後のことを考えると、大きな悲しみとともに、今後の生活への不安を感じるのは当然です。精神的なショック以外にも、その土地をどうするのか、売却はできるのか、という問題は心身ともに疲弊している状況では大きな重荷となるでしょう。
この記事では、火事で人が亡くなった土地の売却について、丁寧に解説します。
目次
1. 火事で人が死んだ土地は売却できる?
火事で人が亡くなった土地について、売却自体は可能です。
しかし心理的瑕疵により、売却価格は大幅に下落する傾向にあります。心理的瑕疵とは、物件そのものに物理的な欠陥はないものの、過去の出来事によって買主の心理に抵抗感を生じさせる要因のことです。火災で人が亡くなったという事実は、買主にとって大きな心理的負担となるので、敬遠されやすいです。
土地価格の下落率は、一般的に火事だけでは20%~30%ですが、死者が出ると50%近く下がる傾向です。売主は過去の火災について買主に告知する義務があります。また、心理的瑕疵は、物理的な瑕疵と異なり、修繕やリフォームで解消できるものではありません。
2. 火事で人が死んだ土地の相場変動の要因
火事で人が亡くなった土地は、心理的瑕疵物件として売却価格が下落する傾向にありますが、その下落率はさまざまな条件によって大きく変動します。
下落率が下がりにくいケース・下落率が大きくなりやすいケース、それぞれについて解説します。
2-1. 火事で人が死んだ土地の下落率が下がりにくいケース
以下のケースでは、心理的な抵抗よりも、立地条件の良さや将来性などが重視されるため、土地価格の下落幅が抑えられる傾向にあります。
- 都心部の土地
- 需要のある土地
都心部は商業施設やオフィス、交通機関などが集中し、生活利便性が非常に高いエリアです。そのため、居住用だけでなく、事業用地としての需要も高く、心理的瑕疵の影響を受けにくい傾向があります。
また、駅近、商業施設へのアクセスが良い、学校区が良い、公園が近いなど、生活環境が整っている土地は、常に一定の需要があります。このような土地は、心理的瑕疵があったとしても、その利便性や住環境の良さが買主にとって大きな魅力となり、価格交渉においても有利に働くことが多いです。
2-2. 火事で人が死んだ土地の下落率が大きくなりやすいケース
以下のケースでは、土地の下落率が大きくなりやすいです。
- 地方の土地
- 金利が高い時期に売却しようとしている
地方は都市部に比べて人口が少なく、土地の需要自体が低い傾向にあります。そのため、買い手候補が限られ、心理的瑕疵が売却に与える影響が大きくなります。特に過疎地域では、買い手自体が非常に少なく、大幅な値下げをしないと売却できないケースも少なくありません。
金利が高い時期は、住宅ローンなどの借入コストが増加し、不動産市場全体が冷え込みます。買い手は購入を控え、市場に出回る物件数が増加するので、価格競争が激しくなります。このような状況下では、心理的瑕疵のある物件はさらに不利になり、大幅な値下げを余儀なくされる可能性が高まります。
3. 火事で人が死んだ土地を売却する方法
火事で人が亡くなった土地は、売却価格に影響があるものの、売却自体は可能です。以下では、火事で人が亡くなった土地を活用・売却する際の3つのパターンについて詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
3-1. 駐車場に変更する
土地を駐車場として活用する方法は、比較的初期費用を抑えながら活用できる手段の1つです。舗装や駐車場の区画線引き、車止めなどの最低限の整備で済む場合が多く、建物をそのまま残したり、更地にしたりするよりも心理的な抵抗感を軽減できる可能性があります。
一方で、収益性は立地条件に大きく左右されるため、事前に周辺の駐車場料金などを調査しておくことが重要です。また、固定資産税などの税金は発生し続ける点、将来的に売却する場合、更地に戻さなければならない場合がある点も考慮しておきましょう。
なお、駐車場として活用する場合でも、火災について告知義務があることは変わりません。
3-2. 更地にする
建物を解体して更地にすることで、過去の出来事を想起させる対象物をなくし、買主の心理的な抵抗感を軽減する効果が期待できます。土地の形状や広さが明確になり、買主が活用イメージを持ちやすくなるというメリットもあります。
一方で、解体費用がかかる点、更地にしても火災の告知義務は残るため、心理的瑕疵が解消されるわけではない点を理解しておきましょう。
3-3. 専門業者に依頼する
ワケあり物件専門の不動産買取業者に依頼する方法は、迅速な売却を希望する場合に有効な手段です。
専門業者は心理的瑕疵物件の扱いに慣れているので、市場の動向や過去の事例などを踏まえ、適正な価格で買取ってくれる可能性があります。仲介に比べて売却価格が低くなる傾向はありますが、早期に確実に売却できるというメリットは大きいです。
煩雑な手続きを代行してくれることにより、売主の手間を大幅に削減できる点も魅力です。
4. 火事で人が死んだ土地を売却する際に確認すべきこと
火事で人が亡くなった土地を売却する際には、通常の不動産売却に加えて、特有の注意点があります。具体的には、告知義務の遵守と火災保険の適用確認について把握しておきましょう。
4-1. 告知義務に従う
火事で人が亡くなったという事実は、心理的瑕疵に該当します。そのため、売主は買主に対して、この事実を隠さずに告知する義務があります。告知する内容としては、過去に火災が発生し、人が亡くなったという事実、火災の発生時期や状況、損害の程度が挙げられます。不動産会社が仲介する場合は、不動産会社が買主に対して説明を行います。
もし告知を怠った場合、契約不適合責任を問われ、買主から契約解除や損害賠償を請求される可能性があります。
4-2. 火災保険が適用できるか確認する
火災保険は火災による損害を補償する保険であり、保険の種類や契約内容によって、適用範囲が異なります。そのため、売却前に、加入している火災保険が今回のケースに適用できるかを確認することが重要です。
確認すべき点としては、保険の契約内容(補償範囲、免責事項など)、保険金の請求期限、保険金でどこまで修繕できるかなどが挙げられます。保険金が適用される場合は、その保険金で建物の解体費用や一部修繕費用を賄える可能性があります。
5. 火事で人が死んだ土地の価格を取り戻す方法
火事で人が亡くなった土地は、心理的瑕疵物件として市場価値が大きく低下する傾向にあり、元の価格を取り戻すのは非常に困難です。時間が経過したとしても、告知義務がなくなるわけではありませんが、一定期間を置いてから売り出すという方法も存在します。
迅速かつ確実に売却を希望する場合は、ワケあり物件専門の不動産買取業者に依頼するのがおすすめです。専門業者は、心理的瑕疵物件の扱いに慣れており、過去の事例や市場動向を踏まえた上で適正な価格を提示してくれます。
アイコムでは、火災現場となった不動産を自社で買い取っています。買い取った不動産はリフォームやリノベーションを行い、リフォーム済み・リノベーション済みの中古物件として価値を高めた上で売却を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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火事で人が亡くなった土地は、一般的に市場価格が下落する傾向です。下落率が下がりにくいケースとしては、近隣の利便性が高く、土地の需要が高い場合などが挙げられます。一方で、下落率が大きくなりやすいケースとしては、金利が高い時期に売却しようとしている場合や、火災の規模が大きく建物が全焼した場合、火災によって亡くなったという事実が広く知られている場合などが挙げられます。
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