「IHは火が出ないから安心」と考える方は多いですが、火災がゼロになるわけではありません。揚げ物油は過熱すると発煙し、条件次第では火種がなくても発火します。さらに、鍋底の反りや対応外の調理器具、汚れ防止シートなどがあると温度検知が遅れ、過熱防止機能が想定通りに働かない場合があります。
当記事では、IHで火災が起きる理由を整理した上で、安全機能の仕組み、ガスコンロとの違い、火災事例、今日からできる予防策などを解説します。
1. IHクッキングヒーターでも火災リスクはある?
IHクッキングヒーターは「火が出ないから安心」と思われがちですが、IHでも火災は起こります。代表例は天ぷら油の過熱で、油は温度が上がりすぎると発煙し、条件次第では火種がなくても発火します。
IHには過熱防止や空焚き防止などの安全装置が備わりますが、使い方次第では停止が間に合わずトラブルにつながる可能性があるため、IHを使用していても火災リスクには注意が必要です。ここでは、IHが安全であるというイメージが広まった背景と、IHの仕組みや安全装置について解説します。
1-1. 「IHは安全」というイメージが広まった背景
IHクッキングヒーターは火を使わず、鍋を電磁誘導で加熱する仕組みのため、炎が燃え移る事故が起きにくいと受け取られやすく、「IHは安全」という印象が広まりました。加えて、過熱防止や鍋なし自動停止、切り忘れ防止、ロック機能などが搭載され、危険を自動で抑える点も安心感につながります。
一方、天ぷら油火災は火の有無だけでは決まらず、油温が上がりすぎると発煙し、条件によっては自然発火に至ります。火が見えない分、異変に気づきにくく、少し目を離した隙に温度が上がる点も注意が必要です。鍋底の反りや誤った鍋の使用、油量が少ない揚げ物などでは温度検知が遅れ、過熱が進む場合があります。安全機能に頼り切らず、取扱説明書通りに使う意識が欠かせません。
1-2. IHクッキングヒーターの仕組みと安全装置
IHは、天板の下にあるコイルに電気を流して磁力を作り、その力で鍋の底に電気の流れ(渦電流)を起こします。鍋はその抵抗で自分自身が熱くなり、炎がなくても調理できます。安全装置は、鍋がない・ずれている場合の自動停止、温度の上がりすぎや空だきの検知、揚げ物温度の見張り、切り忘れ防止、操作ロックなどです。
ただし、鍋底が反っていたり油が少なすぎたりすると検知が遅れることがあるため、対応鍋と適量を守りましょう。トッププレート自体は直接発熱しませんが、鍋の熱が伝わるため調理後もしばらく高温です。高温注意表示が消えるまで触れず、冷めてから手入れしましょう。底が平らで密着する鍋ほど効率が上がり、加熱ムラも減ります。
2. IHクッキングヒーターとガスコンロの比較
ここでは、IHクッキングヒーターとガスコンロを「安全性」「調理効率」「保守性」の3点から比較し、それぞれの長所・短所、家庭環境に合う選び方の考え方を解説します。
2-1. 安全性
安全性は、火が出るかどうかと燃料の扱いで差が出ます。ガスコンロは炎で直感的に危険を意識しやすい一方、ガス漏れや消し忘れ、天ぷら油の過熱などが火災につながる恐れがあります。近年は立ち消え安全装置なども進みますが、周囲の可燃物管理が欠かせません。
IHはガス漏れがなく、鍋なし停止や過熱防止など安全装置も多いため火災リスクは下がりやすい傾向です。ただし、対応外の鍋や油量不足では検知が遅れる場合があり、使用直後に天板を拭いてやけどする例もあります。どちらも正しい器具と手順を守れば安全性が高まり、家庭に合う方式を選びやすくなります。IHでも油断せず、加熱中は目を離さない姿勢が重要です。
2-2. 調理効率
調理効率は、熱の入り方と火力の体感で差が出ます。ガスコンロは炎で鍋をあおれるため立ち上がりが早く、強火の炒め物や餃子などは短時間で水分を飛ばしやすく、皮がパリッと仕上がりやすい傾向です。一方で、鍋底のムラや周囲への放熱が出やすく、換気と室温上昇にも注意が必要です。
IHは鍋底を面で加熱するので温度が安定し、弱火の維持や煮込みの管理がしやすいのが特徴です。一方で、フライパンを振る調理はフライパンがプレートに当たる可能性もあり苦手です。底が平らでIH対応の鍋を選び、余熱と油量を整えると仕上がりが安定します。時短や効率を優先するならガスコンロ、再現性や管理のしやすさを優先するならIHが良いと言えるでしょう。
2-3. 保守性
保守性は「手入れのしやすさ」と「点検体制」で違いが出ます。ガスコンロは五徳やバーナー周りに汚れがたまりやすく、分解清掃の手間が増えがちです。加えてガス機器は法令にもとづく定期保安点検が入るため、手配の手間はかかる一方で安全確認につながります。
IHはトッププレートがフラットで拭き取りやすく、日常の掃除は楽になりやすい傾向です。ただし内部故障は基板交換などになり、修理費がかさむ場合もあります。寿命は使用状況で差があり、目安としてガスは製造後10年、IHは10~15年とされることがありますが、10年で必ず交換という意味ではありません。部品の供給期間や修理受付の可否も含め、メーカー案内を確認して判断が必要です。
3. IHクッキングヒーターの火災事例
IHは火が見えず安全と思われがちですが、安全装置があっても使い方次第で火災は起こります。姫路市で報告された事例では、揚げ物鍋を加熱したまま目を離し、油温が上がって発煙・出火に至ったケースがありました。
別の事例では、汚れ防止シートを敷いたことで鍋底とセンサーの接触が不十分になり、温度制御が想定どおりに働かなかったとされています。鍋敷きが挟まっていた例も同様で、鍋底の反りや異物の介在があると検知が遅れる恐れがあります。さらに油量が少ないと温度が急上昇し、設定温度に達する前に煙が出ることもあります。
揚げ物モードでも過信せず、揚げ物中はその場を離れず、離れるときは必ず停止してください。油は説明書どおりの量を守り、対応鍋を使い、シート類は使用可否を事前に確認すると安心です。異常を感じたら加熱を止め、可能なら鍋にふたをして酸素を遮り、消火器も手元に備えます。調理後はプレートが余熱で熱いので、冷めてから拭き取りましょう。
4. IHクッキングヒーターの火災リスクを減らす方法
IHの火災リスクを下げるには、機器の安全機能に頼り切らず「温度が想定通りに検知される条件」を守ることが重要です。特に揚げ物は油温が上がりやすいため、次の点を徹底してください。
- 加熱中はその場を離れず、注意をそらさないようにする
油は過熱すると短時間で発煙し、条件次第では自然発火に至ります。電話対応や別室への移動は避け、離れる必要が出た場合は必ず停止してから戻ります。加熱中に子どもが近づかない配置も意識します。 - 取扱説明書に定められた油量を使う
油が少ないと温度が急上昇し、センサーの制御が追いつかない場合があります。一方で入れすぎると吹きこぼれや飛びはねで危険が増えます。鍋の種類に合う目安量を守ってください。 - フライパンや鍋はIH対応のものにする
鍋底の反り、薄い底、間にシートが入る状態では温度検知が不安定になりがちです。IH対応で底が平らな器具を選び、汚れ防止シートや鍋敷きは使用可否を説明書で確認します。
あわせて、トッププレート周辺の油汚れや紙類の放置を避け、高温注意表示が消えるまで触れないことも大切です。設定温度や揚げ物モードも万能ではないため、最終的には目視で発煙の有無を確認します。
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IHは火が見えないぶん異変に気づきにくく、鍋底の反りや汚れ防止シートの介在、油量不足で温度検知が遅れると、過熱防止が間に合わない場合があります。発煙に気づいたら加熱を止め、可能ならふたで酸素を遮ります。
トッププレートは余熱で高温になるため、表示が消えるまで触れないことも重要です。機器寿命や修理受付も確認し、点検で事故を防ぎましょう。万一火災が起き、現場の清掃や片付けにお困りなら「アイコム」へ相談してください。


