火災の被害にあった時、ほとんどの人は困惑し、今後の生活再建に不安を感じ、正常な判断が出来ないことが多いです。それは当たり前のことでだからこそ火災現場の片付け作業を業者に依頼する際には十分時間をかけて検討する必要があります。
火災の被害に遭うというのはほとんどの人は生涯で一度も経験することはありません。身の回りに被害に遭った人がいるという事も珍しいです。ですから火災に遭うという事がいざ自分事となった場合どこから始めればよいのかどこに依頼すればよいのか分からないことだらけだと思います。
- 火災現場の清掃ってどのような作業をするんだろう?
- 火災現場を元通りにするためにはどれくらいの費用が掛かるんだろう?
- 火災現場を元通りにしてまた住めるようになるまでどれくらい時間がかかるんだろう?
こんな漠然とした不安を抱える方も少なくありません。戸建て住宅で火災の被害に遭って全焼に近いような状態であれば「解体する」しかないので解体業者選びもそれほど難しくありません。しかし普通の住宅の解体と異なり室内には様々な素材の燃えカスが散乱しておりこれらは自治体の決まりによって分別しなくてはいけません。そのような作業を丁寧に行ってくれる業者かどうかを見極める必要があります。
また、火災現場が分譲マンションのようにコンクリート構造であれば解体するという事はありません。そのような場合は焼失したところを清掃してリフォームする必要があります。このような火災現場の片付け、清掃、リフォームというのは専門の知識と技術が必要で通常の清掃業者にはできない作業です。
後悔しない火災現場の片付け作業業者選び
火災現場の片付けを行う際に依頼する業者を間違えてしまうと自分だけではなく周辺の住民の方にも迷惑をかけることになりますし、何より無駄な費用と時間がかかってしまうケースが少なくありません。後悔しないための火災現場の片付け作業業者選びのポイントをまとめてみました。
火災の燃えカスや廃棄物を丁寧に分別しているか?
火災現場の燃えカスというのは煤で真っ黒になって焼け焦げたもの、消火作業時の放水で水浸しになってしまっているもの、焼けて崩れ落ちた内装材や天井などが散乱しています。これらの廃棄物を一般のゴミのように処分することはできません。それには理由があります。
日常、家庭から出されるゴミは自治体の決まりによって細かく分別して指定されたゴミ収集日に出します。そして分別されたゴミを処理施設で適切に処分しています。ところが火災ゴミというのは分別せずに燃やしてしまったもので現場で発生した煤や燃えカスには有害物質が含まれています。
その廃棄物を一般のゴミとして出してしまうと近隣の住民やごみを収集する人の健康を害する恐れがあります。火災の被害に遭った住宅の片付け、解体を業者に依頼するような場合は解体業者が排出責任者とする産業廃棄物にあたります。また、火災ゴミの状況によっては土壌汚染、環境汚染の懸念から特別管理産業廃棄物として扱われたり罹災ゴミとして扱われたりします。
自治体によっても分別方法や処分方法の扱いが異なりますのでその辺の説明を丁寧に行ってくれるかどうかが優良な火災現場の片付け業者かどうかの判断基準のひとつになります。また火災ゴミの処分費は一般のゴミとは異なり無料で処分してくれません。解体工事という産業で発生した廃棄物と解釈されるため処分費用も高額です。
しかしこの時に「罹災証明書」があればゴミの処理費用が割引になります。「罹災証明書」は火災や焼損事故があったことを消防署長が証明するもので火災保険金の請求、税金の減免、火災ゴミの処分手続きにも必要です。罹災証明書は物件の所有者、管理者、占有者が最寄りの消防署に申請して交付されるものです。
優良な火災現場の片付け業者であれば当然「罹災証明書」を申請することを説明してくれるはずです。
火災現場の有害物質を完全に除去しているか?
火災現場で発生した煤や燃え残った廃棄物には有害物質が残っていることがよくあります。代表的なものとしてはダイオキシンとアスベストです。いずれもメディアなどでしばしば耳にする有害な物質です。
アスベストとは
アスベストは石綿とも呼ばれ細かな繊維で空気中に浮遊しそれを吸い込むと発がん性があり危険と言われています。アスベストはかつては保温、断熱、防カビなどの効果があるため建物の壁や天井に使われていました。2006年以降は製造が禁止されていますが、それ以前の建物についてはアスベストは使用されている可能性があります。
ダイオキシンとは
ダイオキシンは単一の物質ではなくダイオキシン類というのが正確で、モノを燃やしたときに発生しやすい有機塩素化合物です。ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニルの総称です。過去には農薬の不純物としても拡散した経緯があり自然には分解されにくい性質のため自然界に拡散させることは避けなければいけません。
これらの火災現場に残された有害物質を外部に漏らさないためにも火災現場の片付け作業を行う前に現場建物の密閉、有害物質の飛散防止対策、現場の出入りの際のエアシャワー設置など周辺環境を害さないような配慮を行い現場に残された有害物質の分解作業緒を適切に行う必要があります。
優良な火災現場の片付け作業業者であれば火災現場に残されている有害物質についての知識が十分で、その除去方法についても丁寧に説明してくれます。
有害物質については将来にわたっての健康被害の原因ともなりかねません。正しい知識と高い技術が求められます。火災現場の片付け作業必須の知識です。一般の解体業者、片付け業者との違いはここにあります。
完全な消臭作業を行っているか?
火災現場の片付け作業で最もその会社の技術力が試されるのは完全な消臭作業を行っているかという事です。火災の際の煙や煤は上へ上へと上昇していきます。この焼け焦げた煤の臭いは消臭がとても困難です。これを火災臭と一般的に言われますがその臭いの成分はその現場の建材、内装材、家具やその他室内にあるもの全てによりますので消臭を困難にしています。
この火災臭の成分は自然に分解されるのはとても長い時間がかかり天井や壁にしみ込んだ臭いは数年残ると言われています。マンションなどの集合住宅では近隣住民への健康被害も懸念されるため完全な消臭作業を行う必要があります。優良な火災現場の片付け作業業者は消臭についてどのような作業を行うのか?作業後に臭いのレベルチェックをしてくれるのか?など丁寧に説明してくれます。
消臭作業は目に見えるものではないので作業が終わっているのかどうかは見た目ではわかりません。そんな消臭作業を完璧に行っているという会社は他の作業工程においても丁寧な作業を行っていると言えます。
保険会社の対応をしてくれるか?
火災現場となった住宅や建物が火災保険に入っていれば、当然火災保険の申請を行うことになります。もちろん申請を行うのは本人というのが基本ですが火災のショックで正常に物事を考えられないのは普通です。優良な火災現場の片付け作業業者は火災保険の申請手続きのサポートなど依頼された方に寄り添ったサービスを行っています。
火災保険の申請手続きも普通の人は未経験で初めてのことです。火災現場の片付けの実績のある会社なら火災保険の手続きも慣れています。
火災現場の片付け作業に必要な資格や免許を持っているか?
火災現場の片付け作業は通常の清掃作業や不用品回収作業と異なります。その中でも必ず必要なのが「解体業」の届け出をしているかどうかです。火災現場の解体作業は有害物質の飛散を防ぐことも大切ですし焼け崩れそうな建物を解体するには危険も伴います。
また、火災現場のゴミを捨てるのは一般的なゴミの処分とは異なります。特別管理産業廃棄物の場合は通常の産業廃棄物よりも厳しい基準に沿って処理を進める必要があり特別管理産業廃棄物を排出できる業者の許可証を持っているかまたは許可証を持っている業者と連携しているかのいずれかが必要です。
また、免許とは違いますが火災現場の清掃技術や消臭技術は日々進歩しています。消臭技術に関する資格を持っていたり同業者通しで情報交換や技術向上を目指したセミナーなどを開催したり積極的に業界の向上に努めているかも優良な業者であるかどうかを見極める大切なポイントです。
火災現場の解体作業には建物や内装の解体作業が伴います。建物の解体を行うためには解体業の届け出をしている必要があります。