株式会社アイコムでは遺品整理、ゴミ屋敷の片付け、不用品の回収、特殊清掃などの業務も行っています。これらの現場での不用品の分類作業、廃棄物の分別作業は大変手間のかかる作業です。しかし火災現場においてはさらに作業は慎重にならなくてはいけません。火災現場に残されたものは火災時反応で有害物質が発生している可能性も高く、またほとんどの物が消火時の水で水浸しです。
火災現場においては再利用可能な家具や家電製品、衣類、服飾品がある可能性は低いのですが印鑑や預金通帳、現金、証書などは濡れていても現物が見つかれば再発行手続きも簡単に済みます。火災が発生したときの不用品や廃棄物の処分方法は火災の規模などによっても異なります。
火災で発生したいわゆる火災ゴミの処理は自治体によっても多少異なります。その知識が無いままに片付け業者に依頼してしまうと後から後悔することになりかねません。しっかりとチェックしておきましょう。
火災で発生した不用品・廃棄物処分における注意点
火災で発生したごみは一般のゴミと同じように処分することはできません。実際の作業は片付け業者や解体業者、処理業者に依頼することになると思いますが注意点をしっかり把握しておくのとおかないのでは掛かる費用も大きく変わってきます。しっかりチェックしておくことをおススメします。
火災で発生したごみの処理手数料の減免制度を確認
火災を起こしてしまった時、長年住まわれてきた建物が廃墟と化してしまったのを見るのは耐え難いことですし、周囲の目も気になります。ですから一刻も早く片付けてしまいたいところですがその前に必ず確認しておくことがあります。それは火災などの災害によって発生したごみの処理費用の減免制度があるかどうかです。この減免制度は自治体によって異なりますので市区町村役場で確認しておきましょう。
廃棄物処理手数料の減免制度については弊社のように火災現場の片付け作業を専門に行っている会社であれば知っていて当然のことですが、単なる解体業者、片付け業者、清掃業者の中にはそのような基本的な知識のない会社もあります。運悪くそのような業者に依頼してしまうと減免制度の利用が出来ませんので結果として高い廃棄物処理費用を負担しなくてはいけなくなってしまいます。
火災ゴミの処理手数料の減免制度は自治体によって異なります。手続きや申請の方法は市区町村のウェブサイトで情報が掲載されているところが多いので確認してみましょう。市区町村のウェブサイトにはその他の被害に遭われた方向けの様々なサービスが掲載されていたりしますので必ずチェックしましょう。
火災ゴミの処分を依頼する際は一般廃棄物処理業者に依頼
火災で発生した燃えカスなどのゴミは一般廃棄物処理業者に処理してもらわなくてはいけません。しかし、火災に遭った住宅を解体したりリフォームしたりするときに発生するゴミは産業廃棄物となります。このの線引きが難しいのですが、一般住宅で火災によって発生したごみは一般廃棄物に該当するのですが、被災後に行った解体工事は産業活動にあたるため産業廃棄物という分類になります。
火災現場の片付け作業に詳しくない業者の場合、火災のゴミをまとめて産業廃棄物として処分してしまうため費用が高くなってしまいます。弊社のように現場経験の豊富な会社の場合は火災現場の状況に応じて分別可能なものは丁寧に分別することで廃棄物の処理費用を抑えることが出来ます。
火災ゴミを処分するときにどこの廃棄物処理業者に依頼するか?またその処理業者の持っている許可もチェックしておきましょう。火災現場を専門に片付け作業を行っている業者は廃棄物処理手数料が多くならないように適切に分類、処理してくれるはずです。依頼しようとしている業者にしっかり確認、チェックしておきましょう。
入っている火災保険の特約を確認
一般的に火災保険というと火災の被害に遭った住宅の原状回復を補償するものです。ただ火災保険契約時に様々な特約を付けている場合「残存物取片付け特約」のような特約を付けている場合、火災ゴミを片付ける費用の一部を保険で補償されるかもしれません。契約している火災保険会社に確認しておきましょう。
万が一の時のために加入している火災保険です。どんな特約を付けて契約しているかで補償金額も大きく変わってきます。自分の契約している火災保険の内容を今一度確認しておきましょう。
自治体による火災ゴミの処理手数料の減免制度の違い
火災によって発生した不用品や廃棄物の処理費用、処理手数料の減免制度は自治体によって異なります。減免制度を利用する場合には火災に遭ったことを証明する罹災証明書が必要です。罹災証明書は管轄する消防署で申請し発行してもらえます。
東京都八王子市の事例
東京都八王子市では火災に伴う、罹災ゴミ(家庭系ごみ)の処理についてウェブサイトで案内しています。それによると戸吹クリーンセンターに平日に電話で連絡することからスタートします。その後、現場の確認をしてもらい「市で処分出来るもの、出来ないもの」、「分別方法」、「り災ごみの収集、工場への持ち込み」などについて説明してもらえます。
ゴミの処理については罹災証明書、減免申請書の提出が必要です。詳しくは八王子市のウェブサイトで確認できます。減免申請書のダウンロードも出来ます。
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/tantoumadoguchi/019/008/p030512.html
東京都調布市の事例
東京都調布市では通常、市で収集しているごみ(粗大ごみを含む)については申請により無料で回収する制度があります。制度を利用するには罹災証明書が必要となるため消防署で申請、発行してもらいましょう。
https://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1436690110684/index.html
神奈川県横浜市の事例
神奈川県横浜市では火災、天災等(台風、洪水、高潮、大雪、地震など)の被害により生じた一般廃棄物を横浜市廃棄物処理施設に搬入する場合、一般廃棄物処理手数料(1キログラムあたり13円)が免除となります。火災の被害の場合は「建て替え等により生じた廃棄物」「事業系廃棄物のうち商品、原材料及び不燃物」以外の廃棄物の被災者自らが搬入するとき全額免除となります。事業者に委託する場合も対象となることもあるようですので詳しくは問い合わせてみましょう。申請には消防署で発行される罹災証明書が必要で被災後90日以内に申請する必要があります。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/sonota3/ippaigenmen.html
千葉県船橋市の事例
千葉県船橋市では建物火災等で罹災した市民を対象に様々な支援制度を設けています。その中で罹災に伴うゴミは船橋市の清掃工場で処理可能なものに限り受け入れをしています。一般住宅の場合は自己搬入、業者搬入いずれも無料で受け入れています。ただし業者に搬入を依頼する場合は収集、運搬の費用が別途発生します。搬入の前にクリーン推進課に連絡をし、現場立会い確認後、搬入日程や搬入物の調整を行った上で搬入します。また搬入の際には搬入指示書および罹災証明書が必要です。
https://www.city.funabashi.lg.jp/bousai/003/risai/p054009.html
群馬県高崎市の事例
群馬県高崎市では住宅火災の被害に遭われた方を対象に焼却廃材や焼却動産を処分する場合の手数料を無料とする減免制度を設けています。減免制度の対象となるものは高崎市内に所在し、火災時に居住していた住宅の焼却灰材と焼却動産です。物置や倉庫など住宅ではない建物は除きます。また、事業用の建物、高崎市では処理できないゴミは対象外です。
減免を受ける際には申請と清掃管理課の現場立会いが必要です。現場の立会いは建物の解体前に行います。また消防署が発行する罹災証明書、業者が代理で減免申請する際は委任状が必要です。
https://www.city.takasaki.gunma.jp/docs/2014011900349/
静岡県浜松市の事例
静岡県浜松市では火災に遭われた市民に対して浜松市火災残材物の搬入に関する要綱をもとに居住部分の火災残材物にかかる一般廃棄物処理手数料を減免する「火災残材物搬入申請」があります。減免には「火災残材物搬入承認書」が必要です。浜松市から承認を受けた上で搬入する必要があります。家電リサイクル対象品目や建設廃材などは搬入できませんのでそのようなものは産業廃棄物処理業者に依頼する必要があります。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/shori/gomi/dashikata/place/kasaizanzaibutsu.html
火災で発生した不用品や廃棄物の処理については自治体に確認
上記にいくつかの自治体の事例を紹介しましたが、減免制度は自治体によって微妙に異なります。ボヤ程度の火災でもない限り火災で発生した廃棄物の処理は業者に依頼することになると思いますがこのような減免制度について十分な知識のない業者も多いです。そのような場合ですと産業廃棄物として処理されてしまい当然処理費用も高額となります。
優良な火災現場の片付け業者であれば火災の被害に遭われた方の自治体の情報を確認し適切に火災ゴミを分類し一般廃棄物として処理します。そうすることで減免制度の対象となり結果としてご依頼者様の費用負担を軽減することにつながります。
火災ゴミの処理手数料の減免制度を利用するには罹災証明書が必要だったり事前の現場の確認が必要です。現場の確認は解体や片付けを行う前に行う必要があります。順序を間違えると減免制度を受けられないこともありますので注意しましょう。また、後からトラブルにならないためにも火災現場となった建物の写真は何か動きがあるたびに撮影して記録しておくことが重要です。
事件でも事故でも写真や動画での記録はなによりもモノをいう証拠となります。様々な行政のサポートを受けるにも、火災保険の申請等を行うにも写真や動画で経緯の記録を残しておくとトラブルになっても解決が早いです。悲惨な状態になったご自宅を写真に収めるのは苦痛かもしれませんが一日も早く日常を取り戻すには大切なことです。