火事が家屋に及ぼす被害は深刻であり、ボヤ程度であっても部屋が煤まみれになった場合は後始末が非常に手間のかかる作業となります。煤の除去はただ黒い汚れを取り除くだけではなく、部屋全体の掃除や天井・壁・床の掃除、換気など各方法のポイントを押さえた上で掃除することが重要です。
この記事では、火事による煤の掃除方法や状況に応じた適切な対処法について詳しく紹介しています。火事後の煤の落とし方について正しい知識を得たい方や、具体的な掃除方法を知りたい方はぜひご覧ください。
1.火事によって家が煤まみれに!掃除方法は?
火事で家の中が煤まみれになった場合、自分で対処できるかは火事の程度によって異なります。被害の範囲が少ないボヤ程度の火事であれば、自分で片付けや煤掃除ができるでしょう。
煤掃除は、ただ黒くなった部分を掃除するだけでは火事の臭いが取れないため、注意が必要です。
以下では、煤の基本的な掃除方法を解説します。
1-1.煤の基本的な掃除方法
煤掃除の基本は、以下の4つです。
部屋全体を掃除する |
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煤掃除は、煤で黒く見える部分だけではなく、部屋全体を掃除することが大切です。 煤の粒子は非常に小さく軽いため、火の勢いで空気中に舞い上がります。そのため、一部分にしか煤が付いていないように見えても、実際は部屋全体に煤粒子が付着しています。火事が起こった部屋は、家具も含めてすべて掃除が必要です。 |
はたきで部屋全体をたたく |
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はたきを使って部屋全体をたたき、煤を丁寧に落とします。 火事の後に残る焦げ臭さの原因は、煤から発生する臭いです。表面に付着している煤を落として換気することで、臭いが取れやすくなります。 |
天井→壁→床の順番で掃除する |
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煤掃除は天井から始め、壁、床の順番で掃除しましょう。天井から順番に掃除を進めないと、落ちた煤が掃除した壁や床に付着してしまいます。 そのため、部屋の上部から順に掃除することが大切です。 |
掃除後に換気をする |
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煤掃除が終わったら、焦げ臭さが気にならなくなるまで換気してください。 部屋や空気中に煤粒子があると、臭いが残ってしまいます。煤粒子を部屋の外に出すには、1週間から1か月程度は換気を続けることが必要です。 |
煤掃除は時間と手間がかかりますが、上記の基本を押さえて取り組むと煤や火事の臭いが取れやすくなるでしょう。
2.順番別|火事による煤の落とし方
煤は不溶性の汚れのため、水や中性洗剤ではきれいに落ちません。天井や壁に付いた煤は、お湯に溶かした重曹やエタノール、クレンザーなどを使用して落とす方法が効果的です。
ここでは、作業の順番ごとに具体的な煤の落とし方を解説します。
2-1.天井の煤の落とし方
まずは、はたきを使って天井に付いた煤を落としましょう。
煤粒子は、火の勢いで空気中に舞い上がり部屋中に広がります。見えない煤が天井全体に付着しているため、はたきでたたいて煤を落としてください。
乾いた掃除用ブラシや箒を使い、力を入れず掃くように煤をこすり落とす方法も有効です。
煤が付いて黒くなっている場所は、布に重曹やエタノール、クレンザーなどを溶かしたお湯をしみ込ませて優しく拭き取ります。煤は細かい部分にも入り込むので、照明器具などは一度外して分解し、部品ごとに拭き上げるとよいでしょう。
天井を掃除するときは、脚立などで安定した足場を確保し、バランスを崩さないよう注意してください。
2-2.壁の煤の落とし方
天井が終わったら、次は壁に付いた煤を落とします。
壁の煤を落とす際は、強くこすると壁紙に傷が付いてしまいます。壁紙を傷めないように、表面の煤をはたきやブラシで払い落としてから、お湯に溶かした重曹やエタノール、クレンザーなどを含ませた布で優しく拭き取りましょう。
また、左右にこするように拭き掃除をすると、付着した煤が塗り広げられて、汚れの範囲が広がってしまいます。一定方向に布を動かし、拭き取るように煤を落とすのがポイントです。
なお、煤が壁紙に浸透している場合や広範囲に煤が付着している場合は、掃除しても取り切れない可能性が高いでしょう。焼け焦げた臭いが残ってしまうため、壁紙を張り替えることもおすすめです。
2-3.床の煤の落とし方
天井や壁の煤が取れたら、最後は床に付いた煤を落とします。
床は落ちた煤汚れが溜まりやすいため、天井や壁はもちろん、煤が付着した家具などがある場合は、先に掃除を終わらせることが大切です。
床に付いた煤汚れは、布に重曹やクレンザーを溶かしたお湯を含ませて拭き取りましょう。床材によっては、メラミンスポンジでこすり落とす方法も有効です。ただし、メラミンスポンジは表面を細かく削って汚れを落とすため、床材の傷つきに注意してください。
床に傷みがある場合や、汚れや臭いが取れない場合は、床材の張り替えも含めて検討しましょう。
3.状況別|火事後の煤の落とし方
火事でどのくらいの範囲に煤が付いたかによっても、煤汚れの落とし方やおすすめの方法が異なります。
ここでは、煤汚れが付いた範囲ごとに、おすすめの煤の落とし方を解説します。
3-1.煤が2割~5割広がっている場合
煤で汚れた範囲が壁の2割程度のときは、はたきで煤を落としてから市販の洗剤やメラミンスポンジを使って拭き掃除をしましょう。
ボヤ発生後、早期に鎮火した場合や、壁にうっすらと煤が付着した程度なら、市販の洗剤でも対応が可能です。煤汚れが気にならなくなるくらいまで、きれいに掃除できるでしょう。
壁の5割程度が煤で汚れているなら、清掃業者が使用する業務用の洗剤を購入し、煤汚れを落とせるか試してください。
市販の洗剤で広範囲をきれいに掃除するには、非常に時間がかかります。値段は高めですが、業者が使っている洗剤は市販洗剤よりも汚れ除去効果が高いため、掃除の負担を軽減できるでしょう。
ただし、煤汚れの範囲や度合いによっては取り切れない場合もあります。焦げ臭さも含めて早急に解決したいなら、専門の業者に依頼することもおすすめです。
3-2.煤が5割以上広がっている場合
煤が壁の5割以上まで広がっている場合、目に見えない部分にも煤汚れが付着していると考えられます。このような状況では自力で煤汚れを落とすのは難しいため、リフォームするか、専門の業者に清掃を依頼することをおすすめします。
煤は油分や化学物質を含む頑固な汚れであり、一度付着すると落としにくい特徴があります。広範囲な煤汚れを、自分で完全に落として元通りにすることは困難です。
掃除に手間や時間がかかるだけではなく、部屋中に舞い上がった煤粒子を吸い込むことで、健康を害するリスクもあります。
そのため、広範囲にわたって煤が付いた場合は、自分で対処することは避けてください。リフォームして煤が付いた部材を取り替えたり、専門の業者に煤清掃を依頼したりするほうが、早く復旧できるでしょう。
4.火事後の煤の範囲が広い場合はプロに依頼しよう
煤が天井や壁、床にまで広範囲に付いてしまった場合、自分1人で掃除・消臭をすることは非常に困難です。時間と手間をかけて取り組んでも、煤汚れを完全に落としきれない可能性が高いでしょう。
火事の煤汚れを落として焦げ臭さを取り除きたいなら、プロに任せたほうが確実です。知識や実績をもとに、専用の洗剤や機器を使って除去作業を行うので、短期間で煤汚れを解消できます。煤が舞い上がらないよう吸引機を使った上で、保護具を身に着けて清掃作業をするため、煤粒子で健康被害が出る心配もありません。
また、専門業者であれば、消臭作業で火事特有の焦げ臭さを取り除くことや、火災ごみの処分なども任せられるでしょう。
「アイコム」は、高い清掃・消臭技術を持ち、全国の火災現場で活躍しているプロ集団です。火事後の煤落としや消臭でお悩みの方は、ぜひ「アイコム」にご相談ください。
まとめ
火事で部屋が煤まみれになったときの煤掃除は天井から始め、壁、床の順番で行うのが効果的です。煤を掃除した後は1週間から1か月程度しっかりと換気して、部屋や空気中の煤粒子を外に出しましょう。
火事による煤汚れの掃除や除去は煤の範囲が広ければ広いほど除去が難しく、個人で完全に掃除・消臭を行うことは難しいでしょう。自力での煤掃除が困難な場合は、火事現場の片付けや消臭に特化したプロに煤掃除を依頼することをおすすめします。