自宅などが火事に遭ったとき、煤掃除や消臭、火災ごみの処理など、さまざまな後始末を行わなければなりません。火事の後始末には「自分でできること」と「業者に依頼したほうがよいこと」があり、それはボヤ・部分焼・半焼・全焼といった焼損程度によって異なります。自力での後始末が難しい場合は、無理をせずに専門の業者に依頼することが大切です。
今回は火事の後始末を焼損程度ごとに分かりやすく解説します。火事の後始末をどのように進めたらよいか漠然とした不安をもっている人、清掃業者や解体業者に依頼するときのポイントが知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
1.火事の後始末はどうすればよい?
自宅で火事が起こった際の後始末は、おもに「自分でできること」と「専門業者に依頼するほうがよいこと」に分かれます。火災被害状況によっては、全面リフォームや解体に踏み切る必要もあるでしょう。また、専門業者に解体を依頼するような大がかりな作業がともなうときは、近隣住民へ心配、ご迷惑をかけたことへのお詫びとご挨拶をするとともに、今後の後作業の説明をして理解を得ることが大切です。
ここでは、火事の後始末における知っておきたいポイントを3つ解説します。
1-1.罹災証明書を取得する
鎮火後、まずは自治体に被災したことを届け出て罹災証明書の申請を行いましょう。罹災証明書は「火災」と地震などの「その他自然災害」とでは申請場所が異なるため注意してください。火災の場合は所轄の消防署、自然災害の場合は各自治体の担当部署への申請が必要です。
罹災証明書は火災保険の保険金請求や税金の減免申請、補助金申請のほか、原状回復のための費用の借り入れ、火災で出た廃棄物の処分にも必要です。その後の火事の後始末がスムーズになるよう、余裕をもって5通ほど発行しておくといいでしょう。
1-2.火事の規模を表す焼損程度とは
火事の規模を表す焼損程度はボヤ・部分焼・半焼・全焼の4つに分けられます。それぞれの概要は下記の通りです。焼損程度を理解して、適切に火事の後始末を行いましょう。
ボヤ |
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部分焼 |
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半焼 |
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全焼 |
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出典:総務省消防庁「火災予防」
2.火事の後始末|焼損程度がボヤ・半焼の場合
火事の焼損程度が部屋の一部のボヤであれば、自分だけでもある程度は片付け可能ですが、部分焼以上となると自力では難しいでしょう。無理をせずに専門の業者に依頼したほうが、早く安全に日常生活に戻ることができるためご検討ください。が、すべてを業者に任せてしまうと金額は嵩みます。費用負担をなるべく抑えたいときは、できる範囲内は自力での後片付けを心がけるといいでしょう。
ここからは、焼損程度がボヤ・半焼の場合に自分でできる後始末の仕方を解説します。
2-1.煤を掃除する
煤掃除は火事の後始末のなかでも、ひじょうに大切な作業です。ボヤや部分焼の場合は自力でも、頑張ればどうにか煤を除去することができるでしょう。半焼の場合は、煤の範囲が広く、見えない部分にも汚れが広がっている可能性があるため、特殊清掃業者に依頼するほうが二度手間がなく得策です。
煤掃除のコツは、まず掃き掃除や乾拭きで煤を落とし、次に市販洗剤か業務用洗剤を使って拭くことです。いきなり水拭きすると、煤が広がってしまうため避けましょう。また、煤は不溶性のため、洗剤を使用しなければ綺麗に落とせません。掃除の手順は天井→壁→床のように上から下へと進めるのがおすすめです。
2-2.消臭する
煤掃除の後は、消臭作業です。火災現場の焦げ臭を自分で完全に消臭することは簡単ではありませんが、ボヤや部分焼程度であれば自分でもどうにか消臭することができるでしょう。しかし、半焼の場合は焼損範囲が広く、ダイオキシンなどの有害物質が発生している可能性もあるため、専門業者に依頼することをおすすめします。専用機材やオゾン発生器、特殊薬剤などをもったプロに頼めば、面倒で難しい消臭・除菌作業もサクサク効率よく行ってくれます。
ちなみに、衣類については洗濯することで臭い落ちますが、他の衣類に臭い移りしないように煤汚れした衣類のみ単独で洗うことをお忘れなく。煤は洗濯機にも溜まるため、事前にさっと手洗いして煤を落としてから洗濯機をまわすといいでしょう。
自分でできる消臭作業は下記の通り。組み合わせて行うと、火災臭を効果的に除去することができます。
洗濯 | 衣類やカーテンなどを洗濯し、火災臭を除去する |
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換気 | 窓を開けて換気を行い、空気を入れ替える。1週間~1か月ほど継続すると火災臭が薄れる |
水拭き | 壁や床を水拭きし、残った煤や臭いを取り除く |
消臭スプレー | 家具や壁に消臭スプレーを使用し、臭いを中和させる |
2-3.火災ごみを処分する
火災時に炭と化した家電、家具などの家財をはじめ、その他残骸となった残置物は適切に処分することが肝要です。ごみが少なければ、自治体の回収サービスを利用することができますが、ごみの量が多い場合は一般廃棄物処理業者に依頼したり、処理工場に持ち込んだりするなど、処分費用が高額になり、手間もかかります。
下記は一般廃棄物処理業者にごみ処理を頼む際のポイントです。
- 一般廃棄物処理業許可を取得しているか確認する
- 実績や評判のよい業者を探し出す
- 処理費用や対応範囲を確認する
- 契約を急がせない業者を選ぶ
家具や家電の処分方法や処分費用は自治体によって異なります。また罹災証明書のほか関連の書類を提出して申請することで、家庭ごみとして廃棄できる場合があるため、居住地の自治体ホームページを確認するか、直接問い合わせましょう。
2-4.リフォームをする
火事によって家が損傷した場合、半焼や部分焼だけでなく、場合によってはボヤでもリフォームが必要になるでしょう。火事の状況に応じて、壁や天井の修復、配線の再設置、水回りなど、さまざまな箇所を修理することになります。
そこで良い業者を選ぶときのポイントとは?
住宅メーカーや建築業者など、世の中にはたくさんの専門業者がありますが、火事後のリフォームには建築技術はもちろん、事故物件のリフォームの実績がある業者を選ぶと安心です。というのも、火事後のリフォームは通常とは異なり、廃棄物の分別や消臭作業がともないます。建築のみ専門で行っている業者の場合、そうしたノウハウをもたないところも多く、対応しきれない場合があるからです。業者を選ぶときは、実績や周辺での評判を確認し、事故物件に強い業者か否かを踏まえて検討してください。
3.火事の後始末|焼損程度が全焼の場合
火事による焼損が全焼の場合は、自力での掃除や後片付けるは困難です。ほとんどの場合は専門の解体業者に依頼を出すことになるでしょう。
ここでは、焼損程度が全焼の場合にすべきことを「仮住まいの手配」「解体業者への依頼」という2つの観点から解説します。
3-1.仮住まいを手配する
火事で住む場所を失った場合、仮住まいの手配が必要です。仮住まいには、民営住宅(民間企業やオーナーが運営する住宅)と公営住宅(自治体が運営する住宅)の2つの選択肢があります。
火災保険に加入している場合、仮住まいにかかる費用が補填される可能性があります。契約内容によっては家賃や引っ越し費用などが一定期間までカバーされる商品があるため、保険会社に確認しましょう。仮住まいを探す際は、家族のニーズや通学・通勤の便を考慮し、適切な場所を選ぶことが大切です。
3-2.解体業者に依頼する
火事で住宅が大きく焼損した場合の撤去作業は、解体工事業者への依頼が最適です。火災現場の解体作業は通常の解体工事よりも費用が高い傾向にあるものの、火災保険や減免制度を利用すれば費用を安くすることも可能です。
火災保険に加入している場合、解体費用が保険金で補償される可能性があります。ただし、補償範囲は保険の契約内容によって異なるため、火災保険の適用範囲を確認しておきましょう。また、地域によっては火災による解体工事に対して減免制度が設けられているため、居住地の自治体に相談してみることをおすすめします。
4.火事の後始末を解体業者に依頼するときのポイント
火事の後始末を解体業者に依頼する際のポイントは、火災現場での解体経験が豊富な業者を選ぶことに加え、複数業者から実際に見積もりを取ることです。
火災現場の解体工事は通常の解体工事とは異なります。火災による構造物の損傷や付着した黒い煤の除去処理など、作業が複雑で難しいケースが少なくありません。そのため、火災現場での解体経験が豊富な解体業者を選ぶことをおすすめします。経験豊富な業者は、安全で効率的な作業を行ってくれるだけでなく、火災によるさまざまな問題やトラブルへのサポートも期待できます。
見積については、必ず複数の業者に作業内容や工程、費用の内訳などの詳細を提示してくれるよう依頼しましょう。各社が提示する資料を見比べることで、解体工事費用の相場が把握でき、サービス内容の比較検討をすることができます。また、建設業や解体工事業の許認可を受けているかの確認もお忘れなく。
火事の後始末は大変な作業ではあるものの、上記の注意点を踏まえて解体業者を選ぶことで、スムーズかつ安全な解体工事が行えるでしょう。
まとめ
火事の焼損程度は、ボヤ・部分焼・半焼・全焼の4つに分けられます。ボヤ・部分焼であれば自力での煤掃除や消臭ができますが、半焼の場合は専門の掃除・消臭業者に依頼したほうがよいでしょう。焼損程度が全焼であれば、自力での掃除・後片付けは困難なため、ほとんどの場合は専門の解体業者に依頼することになります。
火事の後始末を解体業者に依頼するときのポイントは、火災現場での解体経験が豊富な業者を選ぶことと、複数の解体業者から見積もりを取ることです。
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