ボヤと火災の違いは?火災の区分や火災保険を申請する流れを解説!

一般的に「火災」と言うと大きな被害が連想されますが、実は「ボヤ」と呼ばれる小規模な火災も存在します。ボヤは火が出ても早期に消し止められ、建物火災においても住宅や家財への損傷が少ない状態を指し、火災よりも損害が限定的です。しかし、軽微な火災であっても後片付けや火災保険の適用が必要となるケースがあるため、火災とボヤの違いを知ることは重要です。

当記事では、ボヤと火災の定義やその特徴について詳しく解説し、両者の違いを明確にします。また、火災保険での補償内容や適用条件についても触れ、いざという時の備えとして知っておきたいポイントを紹介します。火災に関する知識を深め、損害を最小限に抑えるための対策について理解を深めましょう。

 

1. ボヤと火災の違いは?火災の区分4つ

ボヤとは、火が出てもすぐに消火されて被害が軽微に済んだ小規模な火事のことです。一方で、火災とは火が広がって建物や家財が大きな損害を受けた火事のことをいいます。火災は被害が大きく、復旧や修理に時間や費用がかかる場合が多いのが特徴です。

日本では古くから大規模な火災のことを「大火(たいか)」とも呼び、その反対語として被害が軽微に済んだ火災を「小火(ボヤ)」と呼んでいます。現在消防庁では焼損範囲に応じて火災を4つの区分に分けており、ボヤは4つある火災区分のうちの1つとして使われている言葉です。

ここでは、消防庁が定義する火災の焼損範囲を表す「ボヤ・部分焼け・半焼・全焼」それぞれの区分について詳しく解説します。なお、火災の定義は消防庁と保険会社で異なります。万が一火災が発生した際にスムーズに手続きできるように、定義の違いについても見ていきましょう。

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1-1. ボヤ

ボヤは、火が発生しても被害が小さく、建物や家財にほとんど損傷を与えない軽微な火災を指します。たとえば、てんぷら火災のように料理中に出火し、燃焼物に焦げ跡が少し残るだけで済んだ場合などがボヤにあたります。主に、早い段階で火が消し止められた場合や、一部が焦げる程度で済んだ際に使われる言葉です。ボヤの場合は、迅速な消火活動が行われることで、大きな損害に至ることはほとんどありません。

<消防庁が定めるボヤの定義>

「ぼや」とは、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の評価額の10%未満であり焼損床面積が1㎡未満のもの、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の10%未満であり焼損表面積が1㎡未満のもの、又は収容物のみ焼損したものをいう。

引用:総務省消防庁「令和4年版 消防白書」引用日2024/11/07

火災保険を利用して原状回復を図る場合、焼損程度の判断は火災保険会社が行います。ただし、保険会社の一方的な判断を避けるため、第三者である損害保険登録鑑定人(損害鑑定人)が客観的な視点から判断を下す仕組みです。

ボヤ火災の場合は、火災保険会社において「一部損」と判断されます。損害鑑定人が以下のような条件を満たしていると判断した場合は、一部損として取り扱われるでしょう。

<火災保険会社におけるボヤの定義>

  • 建物の延べ面積のうち、焼損した部分が全体の20%未満である
  • 火災による損害額が、火災発生直前の建物評価額の10%以上30%未満である

 

1-2. 部分焼け

部分焼けとは、建物や設備の一部が焼損した場合を指します。たとえば、部屋の一部や壁面などが焼損したが、延焼によって建物全体にまで被害が広がらなかった場合などが該当します。ストーブ火災やてんぷら火災など、部分的な可燃物の燃焼が原因で発生することが多く、迅速な対応が重要です。

<消防庁が定める部分焼けの定義>

「部分焼」とは、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の評価額の20%未満のものでぼやに該当しないものをいう。

引用:総務省消防庁「令和4年版 消防白書」引用日2024/11/07

部分焼けの場合も、火災保険会社ではボヤと同様の定義・条件で「一部損」と判断されます。ただし、部分焼けでも半焼を意味する「小半損」「大半損」と判断されるケースもあります。

 

1-3. 半焼

半焼は、建物や設備の約半分が焼損した場合に該当します。建物の構造部分や主要設備が一部残存している場合などがこれに当たります。半焼になると、修復や再建にかかる費用も増大するため、火災保険の補償範囲の確認が必要です。

<消防庁が定める半焼の定義>

「半焼」とは、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の評価額の20%以上のもので全焼に該当しないものをいう。

引用:総務省消防庁「令和4年版 消防白書」引用日2024/11/07

半焼の場合、基本的に火災保険会社では「大半損」もしくは「小半損」と認定されます。基本的には、以下のような条件を満たすと大半損・小半損と判断されるでしょう。

<火災保険会社における半焼の定義>

    大半損

  • 延べ面積のうち、焼損部分が50%以上70%未満である
  • 火災による損害額が、火災直前の建物評価額の60%以上80%未満である
  • 小半損

  • 延べ面積のうち、焼損部分が20%以上50%未満である
  • 火災による損害額が、火災直前の建物評価額の30%以上60%未満である

 

1-4. 全焼

全焼とは、建物や設備がすべて焼失し、再建不可能な状態に陥った場合を指します。建物全体が焼け落ちるなどの完全焼失のケースであり、保険金額も高額になります。火災の中で最も深刻な被害とされ、避難や生活再建のための十分なサポートが求められます。

<消防庁が定める全焼の定義>

「全焼」とは、建物の焼損部分の損害額が火災前の建物の評価額の70%以上のもの、又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

引用:総務省消防庁「令和4年版 消防白書」引用日2024/11/07

損害鑑定人が以下いずれかの条件を満たしたと判断した場合、保険会社では全焼として取り扱われるでしょう。

<火災保険会社における全焼の定義>

  • 消防署が全焼と認定している
  • 延べ床面積の70%以上が焼損している
  • 火災による損害額が、加入している火災保険の保険金額の80%を超える
  • 原状回復にかかる費用が、加入している火災保険の保険金額を超える

 

2. ボヤは火災保険で補償される可能性がある

ボヤでも、火災保険で補償が受けられる場合があります。火災保険の適用範囲は各契約により異なるため、事前に確認しておくと安心です。

ここでは、ボヤに関する火災保険の注意点として、次の3点を紹介します。

 

2-1. 焼損部分が補償対象なのか確認する

火災保険の補償範囲は、大きく分けて「建物」と「家財」の2つに分類されます。建物のみ、または家財のみの契約も可能で、両方をまとめて契約することもできます。

建物は建造物自体の壁や屋根、床といった構造部分や、建物に取り付けられている流し台や浴槽などの設備が対象です。家財は家具や家電、衣類などの生活用品を含みます。火災保険を申請する際は、ボヤがあった部分が補償対象になっているか契約内容を確認することが大切です。

特に賃貸物件の場合、建物の所有者は大家さんであるため、借主の火災保険では建物の補償は適用されず、自身の家財のみが補償対象となります。大家さんの火災保険を利用するか、大家さんから入居者に損害賠償が請求される可能性もあるでしょう。その場合は、建物の所有者である大家さんに対する損害賠償責任をカバーする「借家人賠償責任保険」が使えます。

火災保険への加入を求められた場合は、適切な内容の保険に加入しておきましょう。特に木造系建物火災やマンション火災では、火災保険の加入がおすすめです。

賃貸における火事|入居者が負う大家への責任や火災保険について解説

 

2-2. 火災保険の免責金額に注意する

火災保険の契約時には、免責金額について確認することが重要です。免責金額(自己負担額)とは、火災などによる損害が発生しても、保険が適用される前に自己負担しなければならない金額を指します。たとえば、免責金額が5万円の場合、5万円以下の損害は自己負担となり、保険金が支払われるのはそれを超えた分だけです。

免責金額を高く設定すると保険料は抑えられますが、実際に火災が発生した際には自己負担額が増える点に注意が必要です。保険料と自己負担のバランスを考えた設定を心がけましょう。

特に、ボヤ火災のような軽微な損害では免責金額を下回る可能性があり、保険が適用されないケースもあります。契約時に適切な免責金額を設定し、自分に合った補償範囲を確認することが大切です。また、火災保険の内容や免責金額は火災保険会社ごとに異なるため、事前に保険証券や契約内容をよく確認し、想定するリスクに見合った選択をしましょう。

 

2-3. 契約者の重過失・故意の場合は補償されない

火災保険は火災による損害を補償する保険ではありますが、契約者が故意または重大な過失で火災を引き起こした場合は補償の対象外です。故意とは、火災を意図的に起こした場合を指し、たとえば自己の利益目的で火災を発生させたケースが該当します。また、重大な過失とは通常の注意を怠り、結果として火災を引き起こすような行為を指し、火の始末を十分にせずに放置するなどが当てはまります。

<故意もしくは重大な過失が認定されるケース>

  • 火の不始末で、焚き火やたばこの火を消さずに放置した場合
  • ガスコンロやヒーターをつけたまま、その場を離れて長時間放置した場合
  • 電気機器の異常や破損を把握していながら、修理や交換をせずに使用し続けた場合
  • 保険金目的で意図的に火をつけた場合(故意による火災)
  • 火気厳禁の場所で火を使用し、安全対策を怠った場合
  • 燃えやすい物をコンロや暖房機器の近くに置いておき、不注意で火災を引き起こした場合 など

故意または重過失により火災が発生した場合、火災保険が適用されないため自己負担での損害賠償や修繕が必要です。火災保険は偶然の事故や災害による損害を補償するものであり、故意や重過失による火災はその範囲外とされる点に注意しましょう。日頃から安全に配慮し、火災リスクを最小限に抑えることが大切です。

 

3. ボヤで火災保険を申請する流れ

ボヤで火災保険を申請する流れは下記の通りです。

1 契約する保険会社に連絡する
まず、火災保険を契約している保険会社に連絡を取り、ボヤによる損害が発生したことを報告します。保険会社には、契約番号や発生日時、出火原因、場所などの基本情報を伝えるとスムーズです。
2 保険会社から必要書類を受け取る
保険会社から申請に必要な書類が送られてきます。申請書のほか、損害の詳細を記載するための書類が含まれることが一般的です。
3 保険会社に必要書類を提出する
指示された必要書類に記入し、証拠としての写真などの添付資料も用意します。提出が完了すると、保険会社での申請プロセスが開始されます。
4 保険会社による現地調査が行われる
必要に応じて、鑑定人が現地で火災原因調査を行います。損害の範囲や原因を確認するため、事前にスケジュールを調整し立ち会うことが求められる場合があります。
5 審査結果が報告される
書類や現地調査の結果をもとに保険会社が審査を行い、その結果が契約者に通知されます。審査内容により、保険金の支払可否が決定されます。
6 保険金が支払われる
審査で承認が得られると、契約内容に基づいた保険金が指定口座に支払われます。支払額や支払日については事前に確認しておきましょう。

ボヤのような軽微な火災でも、保険金が適用されるかは契約内容に依存します。申請前に免責金額や補償対象を確認しておくと、スムーズに進められます。

 

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ボヤとは、火災が発生しても早期に鎮火され、建物や家財への被害が小規模で済んだ火災のことを指します。ボヤでも火災保険が適用される可能性があり、損害の程度に応じて補償が受けられる場合があります。

大規模な火災やボヤ火災が発生した際には、焦げ跡やごみなどの後片付けも必要です。こうした作業は自分で行うのが難しいことも多いため、プロのサービスを利用すると安心です。アイコムでは、火災現場の片付けを迅速に行い、快適な環境の回復をサポートします。愛知県・名古屋で火災現場の片付け業者選びにお悩みなら、ぜひアイコムにお任せください。

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