災害で住まいに被害を受けたとき、支援制度の利用や各種手続きを進める上で重要になるのが罹災証明書です。しかし、実際にどのような場面で必要になるのか、取得すると何に役立つのか、被災証明書とどう違うのか分からない方もいるでしょう。罹災証明書は、被害状況を公的に示す書類として、生活再建を進める際の助けになります。申請のタイミングや準備するものを知っておくことも大切です。
当記事では、罹災証明書の基本や取得するメリット、利用できる支援制度、発行までの流れを分かりやすく解説します。
1.罹災証明書とは?
罹災証明書とは、災害によって住まいが受けた被害の程度を証明する公的な書類です。災害対策基本法にもとづき、被災者からの申請を受けた市町村長が交付します。支援金の給付や税の減免、応急仮設住宅への入居など、さまざまな被災者支援を受ける際に欠かせない判断材料です。交付の前には、市町村の担当者が住まいの被害状況を調べる「被害認定調査」が行われます。調査の結果によって、全壊や半壊といった被害の程度が判定されます。
1-1.被害認定調査の流れと被害認定基準
被害認定調査では、市区町村の調査員が住まいを実際に確認し、損害割合をもとに被害の程度を判定します。損害割合に応じて、被害の程度は次の6段階に分けられます。
| 全壊 | 損害割合50%以上で、住家として使い続けることが難しい状態です。 |
|---|---|
| 大規模半壊 | 40%以上50%未満で、大規模な補修が必要です。 |
| 中規模半壊 | 30%以上40%未満で、相当規模の補修が必要です。 |
| 半壊 | 20%以上30%未満で、基本的機能の一部が失われた状態です。 |
| 準半壊 | 10%以上20%未満で、半壊に準じる損傷です。 |
| 一部損壊(準半壊に至らない) | 10%未満の比較的軽い損傷です。 |
この判定結果は罹災証明書に記載され、支援制度の対象や内容を判断する材料になります。被害状況に不服がある場合は、自治体に再調査を相談できることもあります。
1-2.被災証明書との違い
被災証明書とは、災害によって住家以外の物や設備などが被害を受けた事実を証明する書類です。対象は自治体によって異なりますが、車や家財、物置、倉庫、塀、カーポート、店舗の商品や設備、人的被害などが含まれる場合があります。
罹災証明書が住家の被害の程度を証明するのに対し、被災証明書は原則として被害の程度までは判定せず、「被災した事実」を証明する点が大きな違いです。そのため、住宅の損壊程度に応じた公的支援を受ける場合は罹災証明書、住家以外の被害を示したい場合は被災証明書が使われます。
申請時には、被害状況が分かる写真や本人確認書類などを求められることもあります。保険請求や各種手続きで活用できる場合もありますが、必要書類や対象範囲は自治体や提出先によって異なるため、早めに確認しておくと安心です。用途に合う書類を選びましょう。
2.罹災証明書を取得するメリット
罹災証明書を取得すると、被害状況を公的に示せるため、災害後の支援を受ける手続きが進めやすくなります。主なメリットは次の通りです。
■生活再建支援を受けやすい
被災者生活再建支援金や義援金などの申請時に、被害程度を示す資料として使えます。
■住宅修理の制度を利用しやすい
応急修理制度など、住まいを直すための支援を受ける判断材料になります。
■減免や猶予の申請に役立つ
税金、保険料、公共料金などの負担軽減を相談する際に提出を求められることがあります。
■手続きの説明がしやすい
被害状況を客観的に伝えられるため、自治体や金融機関とのやり取りがスムーズになります。早めに取得しておくと、必要な支援を逃しにくくなります。
3.罹災証明書で利用できる主な支援制度
罹災証明書は、災害後の生活再建や住まいの確保、住宅再建に関する支援制度を利用する際に必要となることがあります。ここでは、主な支援制度を紹介します。
3-1.被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度は、自然災害で生活基盤に著しい被害を受けた世帯に、生活再建のための支援金を支給する制度です。都道府県が拠出した基金を活用し、国も補助を行います。対象は、一定規模以上の住宅被害が発生した災害で、住宅が全壊した世帯や、半壊後にやむを得ず解体した世帯、長期避難世帯、大規模半壊・中規模半壊の世帯などです。
支援金には、住宅の被害程度に応じた基礎支援金と、建設・購入、補修、賃借など再建方法に応じた加算支援金があります。申請時には、罹災証明書や住民票、契約書などが必要です。まずは自治体の窓口で対象になるか確認しましょう。
3-2.応急修理制度
応急修理制度は、災害で住家が半壊・半焼などの被害を受け、そのままでは住めない場合に、自治体が日常生活に必要な最小限の修理を行う制度です。対象となるのは、応急的に修理すれば住み続けられる見込みがあり、自らの資力だけでは修理が難しい世帯などです。修理範囲は、屋根、壁、床、ドア、窓、上下水道、電気、ガス、衛生設備など、生活に欠かせない部分が中心です。
応急仮設住宅を利用する場合は、原則として対象外となります。罹災証明書の判定結果とあわせて、地域の自治体の窓口で利用条件や申請方法、指定業者の有無、必要書類などを早い段階で確認しましょう。
3-3.応急仮設住宅への入居
応急仮設住宅は、災害で住家を失い、自力で住まいを確保することが難しい被災者に、一時的な住まいを提供する制度です。災害直後の避難所は短期間の利用を前提としているため、その後の居住の安定を図る目的で用意されます。対象は、住家が全壊・全焼・流失し、居住する住家がない人などです。
住宅を新たに建設する方法のほか、民間賃貸住宅を借り上げて提供する方法もあります。高齢者など配慮が必要な人向けに、福祉仮設住宅が設けられる場合もあります。入居条件や募集方法は自治体によって異なるため、罹災証明書の判定結果とあわせて必ず確認しましょう。
3-4.住宅再建のための災害復興住宅融資
災害復興住宅融資は、災害で被害を受けた住宅を復旧するために、住宅金融支援機構が行う融資制度です。地方公共団体から罹災証明書を交付され、住宅が全壊した人などが対象になります。大規模半壊・中規模半壊・半壊の場合も、修理が不能または困難であると申し出ることで利用できる場合があります。
建設資金や購入資金に使えるほか、被災した親などが住む住宅を建てる場合に利用できる制度もあります。融資額や金利、返済条件には上限や審査があるため、申込前に最新の条件を確認しましょう。準半壊や一部損壊は対象外です。被災住宅の復旧後は利用できない点にも注意が必要です。
4.罹災証明書を発行するまでの手続きの流れ
罹災証明書は、被害状況を記録して申請し、自治体の調査を受けた後に交付されます。必要書類や申請方法は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。主な流れは次の通りです。
| 1 | 被害状況を写真に残す |
|---|---|
| 片付けや修理の前に、建物の全景や損傷箇所を複数の角度から撮影します。 | |
| 2 | 罹災証明書の申請を行う |
| 申請書、本人確認書類、被害写真などを用意し、市区町村の窓口や指定方法で提出します。 | |
| 3 | 自治体による被害調査を受ける |
| 調査員が住家の状態を確認し、国の基準に沿って被害程度を判定します。 | |
| 4 | 罹災証明書を取得する |
| 調査結果に基づき証明書が交付されます。交付まで時間がかかる場合があるため、支援制度の利用を考えている人は早めに申請しましょう。 | |
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罹災証明書は、災害で住まいが受けた被害の程度を示す公的書類です。被害認定調査では、損害割合に応じて全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊などが判定されます。
取得しておくと、生活再建支援金や応急修理制度、応急仮設住宅、災害復興住宅融資などの申請に役立ちます。被害状況は片付け前に写真で残し、必要書類をそろえて早めに自治体へ申請することで、支援制度を利用しやすくなります。
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